「アズキ栽培 日本発祥だった ゲノム解析 大陸説覆す」 2025/06/18 朝日新聞夕刊 New!
朝日新聞夕刊(2025/06/18)の記事

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- 「アズキ栽培、日本発祥だった ゲノム解析、大陸説覆す」朝日新聞(2025/06/18)有料記事
- 「(研究成果) アズキの栽培化が日本で始まったことをゲノム解析で明らかに」農研機構(2025/05/30)
- 「「栽培小豆」は日本が起源? ゲノム解析で中国伝来説を覆す研究成果」毎日新聞(2025/06/15)
- 「イネの伝来よりもはるか前、縄文人がアズキの栽培を開始した!」JB Press(2025/06/09)
<コメント=丸地三郎(当会会長)>
2025/06/18
2025年6月18日の朝日新聞夕刊で報じられたニュースによると、赤飯や和菓子に欠かせないアズキの栽培は、縄文時代の日本で始まったことが、国立研究開発法人の農研機構と台湾大学の研究チームによるゲノム解析で明らかになりました。これは、これまで有力視されてきた「イネやムギと同様に弥生時代に大陸から伝わった」という説を覆す、画期的な成果です。
農研機構のプレスリリースから、試料の採取地とゲノム解析の結果をみる。


- 図1、図2ともクリック(タップ)すると拡大
- 画像出典:農研機構のプレスリリース
ゲノム解析の結果、アズキの栽培化は少なくとも1万年前、縄文時代後期から日本で始まっていたことが判明しました。これは、縄文時代にも農業が存在したことを裏付ける非常に大きな発見です。
しかし、この発見は同時に新たな疑問も生み出します。日本で栽培が始まったとされるアズキは、現在、中国北部から南部、さらには東アジアからネパール・ブータンまで広く分布しています。従来、中国起源説が有力だったことを考えると、その栽培時期は数千年以上前と考えられます。
もしアズキが日本で生まれたとすれば、数千年前に日本生まれの栽培アズキを中国本土に伝えた人々は誰だったのでしょうか? 周りを海に囲まれ、歩いての往来が不可能な日本から中国へ、どのように伝達されたのか、この点が次の大きな疑問となります。
同様の例として、1万年以上前に日本で使われ始めた漆や漆器が、7千年前には中国の河姆渡(かぼと)遺跡で使用されていたことも知られています。このように、縄文時代の日本と大陸との間の交流の謎は、さらに深まるばかりです。
この重要な発見について、もう一度新聞記事を読み返し、詳細を確認してみることをお勧めします。
追伸: アズキの発掘状況が判りましたので、追伸します。
- 日本における最も古いアズキの出土は、滋賀県の粟津湖底遺跡(6000年前)からのもの。
- 次に古いアズキの出土は、福井県の縄文前期(5000~6000年前)の遺跡である鳥浜貝塚からのもの。
- その後、日本では、青森県の三内丸山遺跡(4000~5000年前)、鳥取県の桂見遺跡(4000~5000年前)、富山県の桜町遺跡(4000年前)、京都府の桑飼下遺跡(3000~4000年前)などからアズキの種子の出土がみられるようになる。
- 韓国でアズキの種子が確認された最も古い遺跡は韓国慶尚南道の南道遺跡(5000年前)
- 中国において発掘された最古のアズキ種子は、山東半島龍山文化の両城鎮(Liangchengzhen)遺跡(4000年前)から発見されたもの。
調査・試験研究:「アズキの起源地と作物進化」 著者 独立行政法人 農業生物資源研究所・ジーバンク 友岡憲彦ほか より抜粋しました。
朝鮮半島へは、古くから日本のものが運ばれていたことも判りました。